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大欧州の時代―ブリュッセルからの報告 (岩波新書)

  • 2009/01/21(水) 10:14:35

大欧州の時代―ブリュッセルからの報告 (岩波新書)
脇阪 紀行
大欧州の時代―ブリュッセルからの報告 (岩波新書)
定価: ¥ 777
販売価格: ¥ 777
人気ランキング: 7829位
おすすめ度:
発売日: 2006-03
発売元: 岩波書店
発送可能時期: 在庫あり。

全体像が容易にわかる
 副題に「ブリュッセルからの報告」とあるように、本書には著者が実際に現場で取材し
て得られた話がよく盛り込まれている。

 もちろん教科書的なEUの制度解説もしっかりある。インタビュー記事ばかりが多いと
制度への理解が不足するし、制度解説ばかりの内容だと退屈だ。そういった意味で、本書
は2つがバランスよく統合されており、リズム良く読み進めることができる。

 EUの制度から国際刑事裁判所、イラク戦争を巡る各国の対立、普通の市民が大共同体を
どう考えているか問うインタビュー、欧州憲法についてなど扱われているテーマは幅広い。

 本書は制度についてそんなに詳しく記述されているわけではないので、EUについて研究
する場合は他本との併読が必要だ。しかし、「手早くEUの全体像を知りたい」という読者
にはとてもお勧めである。

現代社会を考えるうえで、欧州の動向はおさえておくべき。本書はその為の良き入門書。
それほど広いとは言えない面積に多くの民族と国家が存在している欧州には、米国では醸成され得ない「世界観」と「寛容」がある。勿論、民族間の紛争や軋轢はあるが、中東やアフリカ諸国の紛争に較べれば、おしなべて「民度は高い」と呼べるのではないだろうか。その欧州で、欧州統合という壮大な実験(旧ソ連の共産主義国家建国に匹敵するのでは)が行われている。果たしてそれが欧州の人々にとって「成功」なのか「失敗」なのかはもっと時間が経たなければ現状では誰にも言い得ないが、いずれにせよ、日本に影響が全くないわけではない。

欧州の多様な価値観と寛容(勿論、不寛容も存在している)は、日本のこれからを考えるうえで、非常に役に立つ概念を内包している。特に、社会保障にかかる政策決定については参考になることが多い。と、そういう欧州統合の入門書として本書はお奨めできる。

欧州連合=EUの最新ガイドブック
 EU中枢組織の多くは、ベルギーのブリュッセル市に集まっているそうです。そのブリュッセルをガイドブック風に紹介して、本書は始まっています。このトーンが全編を貫いており、EUの組織・人・問題などの最新で正確な総括的なガイドブックです。

 内容は、著者が自分で歩いて確かめたもの、直接インタビューし写真を撮ったもの、外電の情報、公文書、研究書などで、情報の新鮮度と信頼度はピカ一です。
 EUが抱える問題が幾つか分かりやすく説明されています。僕に一番関心があったのは、「現代ドイツ」で紹介されていたハバーマスとデリダが考えたEUの地域住民による公の意見の形成でした。しかし本書によると逆にEU内の住民の意識とEU議会・EUエリート官僚との考えの温度差がむしろはっきりしてきたようです。民主主義の赤字といわれるそうです。これをクリアしないと、EU憲法の批准が頓挫している問題。EU加盟国にトルコを入れる問題など、滞留未決問題が解決できるのか疑問です。経済や通貨統一では上手くいっても、肝心の政治レベルでの多様性の統一がどう実現出来るのか、EUレベルでは同意されても、各国で批准する段階では否決という壁をどう越えていくのか興味がわきます。

本書を読んで、日本も圏外にいるのではないなと感じました。EUの加盟国が東に進めば、今ロシアが禁輸政策で牽制しているグルジア・モルドバ・ウクライナなどの欧化はもっと進み、対魯問題が前面に出てきそうです。また人権の尊重の観点から米国にはっきりした意見を言うEUと対米追随外交の日本と今後ある程度の軋轢が生ずることもありそうです。

EUに至る道とか、時系列的な流れの記述がもっとあれば、年輩者にはより判り安かつたかもしれません。また組織名の原綴り、略語、和名の対照があれば、ものすごく役立ったのにと思いました。

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